仙台高等裁判所 昭和25年(う)451号 判決
本件起訴状を調査するに被告人及び原審相被告人船田市郎の公訴事実として冒頭に所論のとおり前科事実を記載している。しかして刑事訴訟法第二百五十六条に、起訴状には裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添附し又はその内容を引用してはならないと規定しているのでこれに違反した公訴提起は不適法であり該公訴は棄却されること勿論である。よつて右前科事実の記載が裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞があるかにつき検討するに、我が国の裁判は陪審裁判ではなく熟練した職業裁判官の裁判であるから起訴状に前科の事実が記載されていたとしても之により直ちに事件につき予断を生ぜしめる虞があると認めることは出來ない。論旨は理由がない。